「棚倉」とは穀物を収蔵するに当たり、湿気をさけるための床を設けた倉庫をいい、養蚕にも用いられた。筒城(綴喜)は古来から渡来人による養蚕の盛んな地域であり、その蚕は貴重で「天の虫」ともいわれ、蚕が棲む倉を崇め神格化して祀ったのが神社としての興りではないかとも考察されている。 境内には、本殿のほか、拝殿、絵馬殿、社務所、式場などの建物が並び、本殿手前右手にある石造燈篭は桃山時代の作である。 2年に1度の例祭では、秋の収穫を祝って約30種の穀物や野菜などで飾られた「ずいきみこし」がくりだされる。高さ3m、1.5m四方、重さ約1トン、屋根に赤ズイキ、鳥居に青ズイキ、壁に大豆、三度豆、玄米、小豆、頂上の鳳凰には南瓜や百日紅の花、他にも赤、青の唐辛子、赤なす、たかのつめ、菊の花など全部で30種類ほどの野菜や穀物、乾物が飾りつけられ、神々に五穀豊穣を祈願する。天香古山命(あまのかごやまのみこと)を祭神とする旧天神ノ森の産土神で、元は天神社または天満宮とも称していたが、明治になって式内棚倉孫神社と改めた。 本殿は、一間社流造り桧皮葺であり、桃山時代の建築である。拝殿は入母屋造りで、前後に軒唐破風を設けた桧皮葺の江戸時代中期を代表する建築である。 社務所は元の神宮司であった旧松寿院で、現存する江戸末期の貴重な建物である。その他本殿の右側にある四角形石灯籠は天正2年(1574年)刻銘があり、桃山時代の傑作である。絵馬舎には白川芝山筆の「猛虎図」のほか絵馬十数面を掲げている。境内全域はクスノキやシイの常緑広葉樹が繁茂しており、文化財環境保全地区となっている。
寺・神社
棚倉孫神社
Tanakurahiko Shrine
"The date of the establishment of this shrine is unclear. However, it has been associated with the famous Tenmanguu shrines since the Edo period (1603-1868). The shrine grounds include a main hall (honden), a hall of worship (haiden), an ema (votive tablet) hall (emaden), a shrine office (shamusho), and a ceremony hall (shikijou). The stone lantern to the right of the main hall is from the Momoyama period (1583-1600). Once every two years, a festival is held here celebrating the autumn harvest. A portable shrineknown as the zuiki-mikoshi is decorated with 30 types of grain and vegetable and paraded through Tanabe."